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【文献紹介】機能性成分をふくむ食品とFMD

FMDを改善し得る食品成分は?チョコ・ポリフェノール等の研究論文要約

FMD(血管内皮機能)を改善し得る食品成分:研究論文要約(ココア・チョコ・ポリフェノール等)

ココア/ダークチョコ、ポリフェノール、イソフラボン、ビタミンC・E、プロバイオティクス等が FMD(血管内皮機能)に与える影響を、研究論文から要約して整理します。対象(健常者/高血圧等)と主要結果を短くまとめています。

健康の維持や老化予防に寄与する機能性成分を含む食品は、血管機能にも影響を与えることが知られています。特に、抗酸化作用を持つ成分は血管内皮機能を保護し、FMDに関与する可能性が示唆されています。本報ではこれらの食品が血管機能に及ぼす影響についての文献をご紹介します。

目次

ダークチョコレートおよびココアの急性摂取と内皮機能:ランダム化比較クロスオーバー試験

Acute dark chocolate and cocoa ingestion and endothelial function: a randomized controlled crossover trial

著者:RZubaida Faridi, Valentine Yanchou Njike, Suparna Dutta, et al.

出典:Am J Clin Nutr. 2008;88(1):58-63.

出典:論文ページ

要約: ダークチョコレートとココアが過体重成人の内皮機能および血圧に与える急性効果を調査した結果、固形ダークチョコレートおよび液体ココアは、プラセボに比べて内皮機能を有意に改善し、血圧を低下させた。無糖ココアが内皮機能を最も改善し、血圧の低下も顕著だった。糖分が含まれている場合、これらの効果は減弱する可能性がある。


ココアの摂取は用量依存的に血流介在性拡張と動脈硬化を改善し、健常人の血圧を低下させる

Cocoa consumption dose-dependently improves flow-mediated dilation and arterial stiffness decreasing blood pressure in healthy individuals.

著者:Davide Grassi, Giovambattista Desideri, Stefano Necozione, et al.

出典:J Hypertens. 2015;33(2):294-303.

リンク:論文ページ

要約: ココアフラボノイドが血流媒介性拡張 (FMD)、脈波伝播速度 (PWV)、エンドセリン 1 (ET-1)、および血圧に与える影響を調査した結果、ココアフラボノイドの摂取は用量依存的にFMDを改善し、PWVを減少させることが示された。また、血圧やET-1レベルも低下し、ココアは心血管系予防において有益な食品となる可能性がある。


耐糖能障害のある高血圧患者がポリフェノールを多く含むダークチョコレートを15日間摂取すると、血圧が低下し、インスリン感受性が増加する

Blood pressure is reduced and insulin sensitivity increased in glucose-intolerant, hypertensive subjects after 15 days of consuming high-polyphenol dark chocolate.

著者:Davide Grassi, Giovambattista Desideri, Stefano Necozione, et al.

出典:J Nutr. 2008;138(9):1671-6.

リンク:論文ページ

要約: フラバノール豊富なダークチョコレート(FRDC)が、耐糖能異常(IGT)を伴う高血圧患者に与える影響を調査した結果、FRDCはインスリン感受性を改善し、血圧を低下させ、FMDを増加させた。また、FRDC摂取後、総コレステロールとLDLコレステロールが減少し、インスリン感受性やβ細胞機能の改善がFMDの増加と関連していることが示された。


フラバノールを豊富に含むダークチョコレートの急性高血糖時の内皮機能と波動反射に対する保護効果

Effects of Flavanol-Rich Dark Chocolate on Endothelial Function and Wave Reflection During Acute Hyperglycemia.

著者:Davide Grassi, Giovambattista Desideri, Stefano Necozione, et al.

出典:Hypertension. 2012;60:827–832.

リンク:論文ページ

要約: フラバノールが豊富なダークチョコレートは、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)の前後におけるFMDの減衰を防ぎ、内皮機能を保護することが示された。ホワイトチョコレート摂取後、グルコース負荷によりFMDが低下する一方、ダークチョコレート摂取後はその低下が見られず、内皮機能が維持された。


コンコードグレープジュースのポリフェノールと心血管危険因子:用量反応関係

Polyphenols and Cardiovascular Risk Factors: Dose-Response Relationships.

著者:Jeffrey B. Blumberg, Joseph A, C-Y Oliver Chen.

出典:Relationships.Nutrients.2015;7(12):10032-52.

リンク:論文ページ

要約: 果汁に含まれるポリフェノール、特にフラボノイドが心血管疾患リスクに有益であることが示唆されているが、用量反応関係に関するデータは少ない。本研究では、100%コンコードグレープ果汁のフラボノイド含有量を他のポリフェノール食品と比較し、FMD、血圧、血小板凝集、LDLの酸化抵抗性を測定した。ポリフェノール摂取量とFMDに相関があり、適量の果汁摂取が心血管疾患リスクに影響を与えることが示された。


心血管イベントの高リスク者におけるイソフラボン摂取:血管内皮機能と頸動脈アテローム性動脈硬化負荷への影響

Isoflavone intake in persons at high risk of cardiovascular events: implications for vascular endothelial function and the carotid atherosclerotic burden.

著者:Yap-Hang Chan, Kui-Kai Lau, Kai-Hang Yiu, et al.

出典:Am J Clin Nutr. 2007; 86: 938-45.

リンク:論文ページ

要約: 植物エストロゲンの摂取が心血管疾患の危険因子やイベント発生率と逆相関すると示唆されているが、イソフラボン摂取量とその関係は不明である。本研究では、大豆イソフラボン摂取が血管内皮機能および動脈硬化に与える影響を調査した。126人の高リスク患者を対象に、食事摂取量を推定した結果、イソフラボン摂取量が多い群では、FMDが増加し、頸動脈内膜中膜厚が減少した。大豆タンパク質摂取量には影響はなかった。


喫煙者のインスリン抵抗性と内皮機能不全:ビタミンCの影響

Insulin resistance and endothelial dysfunction in smokers: effects of vitamin C.

著者:Nobutaka, Hirai,Hiroaki, Kawano,Osamu,et al.

出典:Am J Physiol Heart Circ Physiol2000; 279: 1172–1178

リンク:論文ページ

要約: 喫煙は内皮機能を損なわせ、動脈硬化と冠動脈疾患の危険因子となる。インスリン抵抗性も動脈硬化の危険因子と関連がある。本研究では、ビタミンCが喫煙者と耐糖能異常(IGT)の非喫煙者に与える影響を調べた。ビタミンCは喫煙者の血漿中のチオバルビツール酸反応物質(TBARS)を減少させ、インスリン感受性(SSPG)と内皮機能(FMD)を改善した。また、IGTの非喫煙者にも改善効果が見られたが、対照群では変化はなかった。


糖尿病のない健康成人において、経口ブドウ糖負荷は内皮依存性血管拡張を急性に抑制する:ビタミンCとビタミンEによって抑制される効果

Oral glucose loading acutely attenuates endothelium-dependent vasodilation in healthy adults without diabetes: an effect prevented by vitamins C and E.

著者:Lawrence M Title, Peter M Cummings, Karen Giddens, et al.

出典:J Am Coll Cardiol. 2000 ; 36 (7) 2185–2191.

リンク:論文ページ

要約: 経口ブドウ糖負荷が健常者の内皮機能を一時的に低下させるが、ビタミンCとビタミンEの併用がその低下を防ぐことが確認された。糖尿病のない健常被験者を対象にした試験で、ビタミン投与により内皮依存性血流介在性拡張(FMD)の低下を予防できることが示された。


ビフィズス菌と食物繊維の毎日の摂取が血管内皮機能に及ぼす影響:ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験

Effect of daily ingestion of Bifidobacterium and dietary fiber on vascular endothelial function: a randomized, double-blind, placebo-controlled, parallel-group comparison study.

著者:Naoki Azuma, Yasuo Saito, Tomohiko Nishijima,et al.

出典:Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry. 2024;88(1):86-96.

リンク:論文ページ

要約: Bifidobacterium animalis subsp. lactis GCL2505(GCL2505)とイヌリンを含む試験飲料が血管内皮機能に与える影響を健常者60名を対象に調査した。結果、GCL2505とイヌリン群ではプラセボ群と比較して、12週間のFMDの変化が有意に増加し、低比重リポ蛋白コレステロールおよびプラスミノーゲン活性化抑制因子1にも改善傾向が見られた。このことから、試験飲料は血管内皮機能および関連する血液パラメータに好影響を与えることが示された。


NOを介した血管弛緩因子の増強に対するプロバイオティクス発酵豆乳の効果

The effect of probiotic-fermented soy milk on enhancing the NO-mediated vascular relaxation factors.

著者:Chein-Pang Cheng, Shuo-Wen Tsai, Chihwei P Chiu,et al.

出典:J Sci Food Agric. 2013;93(5):1219-25.

リンク:論文ページ

要約: 豆乳をLactobacillus plantarum TWK10またはStreptococcus thermophilus BCRC 14085で発酵させ、その血管弛緩因子への影響を検討した結果、発酵豆乳はグルコシド型イソフラボンからアグリコン型イソフラボンへの変換を促進し、NO産生とeNOS活性を刺激した。また、発酵豆乳はスーパーオキシドアニオンの消去やプロスタグランジンE₂の産生促進、さらにE-プロスタノイド4受容体のmRNA発現増強にも関与した。低濃度の発酵豆乳は、カルシウムイオン含有量を増加させ、NO産生を促進することが確認された。


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