- 目次
- Endothelial dysfunction and oxidative stress in chronic renal failure
「慢性腎不全における内皮機能障害と酸化ストレス」(2004年) キーワード:尿毒症、心血管疾患(CVD)、内皮機能障害、酸化ストレス、腎不全 - Dialysis improves endothelial function in humans
「透析はヒトの血管内皮機能を改善する」(2001年) キーワード:慢性腎不全、血管疾患尿毒症、血液透析、自動腹膜透析 - "Effect of renal transplantation on endothelial function in haemodialysis patients"
「血液透析患者における腎移植が血管内皮機能に及ぼす影響」(2006年) キーワード:慢性血液透析、腎移植、動脈硬化性疾患、尿毒症毒素 - "Aerobic Exercise Training and Nontraditional Cardiovascular Risk Factors in Hemodialysis Patients: Results from a Prospective Randomized Trial"
「血液透析患者における有酸素運動トレーニングと非伝統的な心血管リスク因子:前向き無作為化試験の結果」(2019年) キーワード:慢性腎臓病、心血管疾患、生活習慣、有酸素運動 - “Effect of Hemodialysis with Medium Cut-Off versus High-Flux Membranes on Endothelial Function of Patients with Chronic Kidney Disease”
「中程度のカットオフ膜と高流量膜を用いた血液透析が慢性腎臓病患者の血管内皮機能に及ぼす影響」(2024年) キーワード:慢性腎臓病、内皮機能、血流依存性血管拡張、血液透析、中濃度カットオフ膜
慢性腎不全における内皮機能障害と酸化ストレス
Endothelial dysfunction and oxidative stress in chronic renal failure
要約:
筆者らは慢性腎不全に伴う血管内皮機能障害と酸化ストレスの関係を明らかにすることを目的に、保存期CKD患者40名、血液透析(HD)患者20名、健常対照30名を比較した。血管内皮機能は上腕動脈FMDで評価し、さらにニトログリセリン投与による内皮非依存性血管拡張も測定した。
その結果、FMDは健常者6.9±2.8%、CKD患者5.3±2.2%、HD患者3.6±2.7%と、腎障害が重い群ほど有意に低値を示した。一方、ニトログリセリンによる血管拡張反応には群間差を認めず、主として血管内皮依存性機能が障害されていることが示唆された。
またCKD患者では、腎機能を示すクレアチニンクリアランスとFMDに正の相関が認められた。さらにCKD患者およびHD患者にビタミンC 2 gを投与したところ、酸化ストレス指標は両群で改善したが、FMDはHD患者で3.6±2.7%から4.7±2.4%へ有意に改善した一方、CKD患者では有意な変化を認めなかった。
慢性腎不全では腎機能低下に伴って血管内皮機能障害が進行し、特にHD患者では酸化ストレスがFMD低下に一部関与している可能性が示された。
透析はヒトの血管内皮機能を改善する
Dialysis improves endothelial function in humans
要約:
筆者らは、末期腎不全患者にみられる血管内皮機能障害が、血液透析によって改善するかを検討した。対象は血液透析(HD)患者16名と自動腹膜透析(APD)患者14名で、透析前後に上腕動脈FMDを測定し、さらに内皮機能に影響すると考えられるADMAやホモシステインなどの血中因子も評価した。
HD群ではFMDが透析前4.0±1.0%から透析後5.8±1.2%へ有意に改善し(p<0.002)、この改善は5時間後まで持続したが、24時間後には透析前の水準に戻った。一方、APD群ではFMDに有意な変化がなかった。
また、HD後にはADMAやホモシステインなどの循環因子が低下した一方、ニトログリセリンによる内皮非依存性血管拡張には変化がなかった。
これらの結果から、末期腎不全におけるFMD低下の一部は血管平滑筋自体の障害ではなく、透析で除去可能な血中の内皮機能阻害因子による可逆的な障害である可能性が示された。
血液透析患者における腎移植が血管内皮機能に及ぼす影響
Effect of renal transplantation on endothelial function in haemodialysis patients
要約:
筆者らは、血液透析患者にみられる血管内皮機能障害が、腎移植による腎機能回復によって改善するかを検討した。対象は慢性血液透析患者30名で、同一患者について腎移植前後に上腕動脈FMDおよびニトログリセリンによる内皮非依存性血管拡張を測定し、さらに年齢・性別を合わせた健常対照20名と比較した。
血液透析中のFMDは6.69±3.1%であったが、腎移植後には10.50±3.0%へ有意に改善した(p<0.001)。一方、健常対照のFMDは14.02±2.3%であり、移植後も正常レベルまでは回復しなかった。ニトログリセリンによる血管拡張は、透析中16.27±1.9%、移植後16.30±1.8%で有意な変化を認めず、血管平滑筋の拡張能は保たれていた。
これらの結果から、末期腎不全患者の血管障害は主として内皮依存性機能に現れ、その一部は腎移植による尿毒症性環境の改善に伴って可逆的に回復する可能性が示された。腎移植後もFMDが健常者より低値であったことから、長期にわたる腎不全による血管障害が一部残存する可能性も示唆される。
血液透析患者における有酸素運動トレーニングと非伝統的な心血管リスク因子:前向き無作為化試験の結果
Aerobic Exercise Training and Nontraditional Cardiovascular Risk Factors in Hemodialysis Patients: Results from a Prospective Randomized Trial
要約:
筆者らは、血液透析患者に対する透析中の有酸素運動が、血管内皮機能を含む非伝統的心血管リスク因子に及ぼす影響を前向き無作為化比較試験を検討した。対象は血液透析患者30名で、運動群15名と対照群15名に無作為に割り付けた。運動群では、透析開始後2時間以内に自転車エルゴメーターを用いた30分間の有酸素運動を、最大心拍数の65~75%程度の強度で週3回、4か月間実施した。開始前後に上腕動脈FMD、心エコー、動脈スティフネス、運動耐容能、血清アルドステロン、CRPなどを評価した。
その結果、運動群ではFMDが有意に改善し(p=0.002)、左室肥大も有意に減少した(p=0.006)。さらに血清アルドステロンも有意に低下した(p=0.016)。一方、動脈スティフネスやVO₂maxには明確な改善を認めず、対照群ではCRPが有意に上昇した。
透析中に継続して行う中等度有酸素運動は、血液透析患者の血管内皮機能や心臓構造、ホルモン環境の一部を改善し、非伝統的心血管リスクの軽減に寄与する可能性が示された。
medium cut-off(MCO)膜と高流量膜を用いた血液透析が慢性腎臓病患者の血管内皮機能に及ぼす影響
Effect of Hemodialysis with Medium Cut-Off versus High-Flux Membranes on Endothelial Function of Patients with Chronic Kidney Disease
要約:
筆者らは、従来のhigh-flux膜より中分子量の尿毒症性物質を効率的に除去できるMCO(medium cut-off)膜が、血液透析患者の血管内皮機能を改善するかを検討した。対象は慢性血液透析患者32名で、MCO膜とhigh-flux膜をそれぞれ12週間使用する前向きランダム化クロスオーバー試験を実施し、各期間の開始時と終了時に上腕動脈FMDを測定した。
MCO膜では中分子尿毒素や炎症関連物質の除去向上が期待されるため、FMD改善が仮説とされた。しかし解析の結果、FMDについて膜の種類による効果(p=0.426)、時間による効果(p=0.972)、膜と時間の交互作用(p=0.413)のいずれも有意ではなく、MCO膜がhigh-flux膜より血管内皮機能を改善する明確な結果は得られなかった。MCO膜使用時にはFMD上昇傾向はみられたものの、統計学的有意差には至らなかった。
透析患者の血管内皮機能障害は中分子尿毒素の蓄積だけで決まるものではなく、高血圧、酸化ストレス、慢性炎症、血管石灰化など複数の因子が関与している可能性が示された。
本ページは公開論文の要約であり、診断・治療の代替ではありません。 当社製品へのリンクを含みます。
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