- 目次
- A method for detection of doxorubicin-induced cardiotoxicity: Flow-mediated vasodilation of the brachial artery
「ドキソルビシン誘発性心毒性の検出方法:上腕動脈の血流依存性血管拡張反応」(2001年) キーワード:ドキソルビシン、内皮細胞、酸化ストレス、心毒性 - Prolonged impact of anti-cancer therapy on endothelial function and arterial stiffness in breast cancer patients
「乳がん患者における抗がん療法が内皮機能および動脈硬化に及ぼす長期的な影響」(2023年) キーワード:乳がん、アントラサイクリン、内皮機能、動脈硬化 - "Snacking on whole almonds for 6 weeks improves endothelial function and lowers LDL cholesterol but does not affect liver fat and other cardiometabolic risk factors in healthy adults: the ATTIS study, a randomized controlled trial"
「心血管疾患患者における上腕動脈血流依存性血管拡張反応の予後予測値」(2006年) キーワード:血管拡張、内皮機能、心血管疾患、心血管イベント - "Anthracycline Causes Impaired Vascular Endothelial Function and Aortic Stiffness in Long Term Survivors of Childhood Cancer"
「アントラサイクリンは、小児がんの長期生存者において血管内皮機能障害および大動脈硬化を引き起こす」(2013年) キーワード:小児がん、血管内皮機能、動脈硬化 - “Flow-Mediated Dilation of Brachial Artery as a Screening Tool for Anthracycline-Induced Cardiotoxicity”
「アントラサイクリン誘発性心毒性のスクリーニングツールとしての腕動脈血流依存性血管拡張反応」(2017年) キーワード:心毒性、血管拡張、スクリーニング、アントラサイクリン
ドキソルビシン誘発性心毒性の検出方法:上腕動脈の血流依存性血管拡張反応
A method for detection of doxorubicin-induced cardiotoxicity: Flow-mediated vasodilation of the brachial artery
要約:
抗がん剤であるドキソルビシン(DOX)を投与すると、投与わずか数時間後からFMDが低下する人がいる。そして、その最初のFMD低下が大きかった人ほど、その後約1年半の間に心臓の収縮機能が低下する傾向があった。そこで、DOXを含む化学療法を受けている悪性リンパ腫患者22人を対象に、研究を行った。(化学療法としてはドキソルビシン単独投与ではなく、CHOP系やABVD系を含む)
1回あたりの実際の平均DOX投与量は、33 ± 12 mg/m²であった。その後平均、18.6 ± 8.1か月追跡した。追跡終了時点での累積DOX投与量は、平均229 ± 112 mg/m²であった。また、FMDを測定した後、10分以上休ませ、ニトログリセリン400 µgを舌下投与し、3~4分後に血管径をコントロールとして測定した。DOXを含む化学療法の投与前後に超音波を用いて上腕動脈FMDを測定した結果、FMDは投与前9.9±4.4%から投与後6.1±4.6%へ有意に低下した。一方、投与直後の心電図、血圧、CK、トロポニンTには明らかな変化を認めなかった。また、平均18.6か月の追跡ではLVEFが66.4±7.9%から60.5±9.0%へ低下し、初回DOX投与後のFMD低下量が大きい患者ほど、その後のLVEF低下も大きい傾向を示した。さらに、FMD低下例に対するビタミンC投与によりFMD低下が抑制されたことから、DOXによる酸化ストレスとNO依存性血管内皮機能障害の関与が示唆された。
乳がん患者における抗がん療法が内皮機能および動脈硬化に及ぼす長期的な影響
Prolonged impact of anti-cancer therapy on endothelial function and arterial stiffness in breast cancer patients
要約:
乳がん治療で用いられるアントラサイクリン系抗がん剤やトラスツズマブには心血管毒性があり、著者らは心機能障害だけでなく血管内皮障害や動脈スティフネスの増加=vascular toxicity(血管毒性)も生じているのではないかと考えた。そこで、アントラサイクリンを中心とする乳がん治療を開始すると、FMDとPWVが時間の経過とともにどのように変化するのかと、トラスツズマブを追加することで、血管障害がさらに強くなるのかについて検討を行った。
対象はアントラサイクリンを含む治療を受ける乳がん患者52名と対照女性104名で、治療開始前から15か月間にわたり上腕動脈FMDおよび脈波伝播速度(PWV)を追跡した。治療開始前には両群のFMDおよびPWVに有意差を認めなかったが、乳がん患者では15か月後にFMDが6.95±2.86%から5.03±2.83%へ有意に低下し(p=0.006)、PWVは7.43±1.68 m/sから8.18±2.00 m/sへ有意に上昇した(p=0.01)。また、FMD、PWVともに時間経過に伴う変化は対照群と有意に異なった。一方、トラスツズマブ併用による追加的なFMD低下またはPWV上昇は認められなかった。アントラサイクリンを含む乳がん治療は、血管内皮機能低下と動脈スティフネス増加をもたらし、その影響が少なくとも15か月にわたり持続する可能性が示された。
心血管疾患患者における上腕動脈血流依存性血管拡張反応の予後予測値
Prognostic Value of Flow-Mediated Dilation of the Brachial Artery in Patients with Cardiovascular Disease
要約:
冠動脈疾患、高血圧、糖尿病、喫煙などの患者ではFMDが低いことは知られている。FMDが低い人ほど、実際にその後の心血管イベントを起こしやすいのかという予後との関係の解明において、上腕動脈FMDが心血管疾患患者における将来の心血管イベント予測に有用かを前向きに検討した。対象は虚血性心疾患を中心とする心血管疾患患者221名(平均年齢61.4±10.6歳)で、上腕動脈FMDを測定し、その後の心血管イベント発生を追跡した。対象者全体の平均FMDは4.77±2.85%であり、FMD 4.7%以上の110名と4.7%未満の111名に分類して予後を比較した。結果、心血管イベントはFMD 4.7%以上群では7名(6.4%)に発生したのに対し、4.7%未満群では16名に認められた。Kaplan–Meier解析においても、FMD低値群では心血管イベント発生率が有意に高く、血管内皮機能低下と予後不良との関連が示された。以上より、上腕動脈FMDは既存の心血管疾患患者におけるリスク層別化および将来の心血管イベント予測に有用な可能性が示唆された。
アントラサイクリンは、小児がんの長期生存者において血管内皮機能障害および大動脈硬化を引き起こす
Anthracycline Causes Impaired Vascular Endothelial Function and Aortic Stiffness in Long Term Survivors of Childhood Cancer
要約:
小児がんの治療が向上したことで、治療後何十年も生存する患者が増えている。一方、小児がんサバイバーは若年期から心血管疾患リスクが高くなることが問題となっている。特にアントラサイクリン系抗がん剤は心筋障害を起こすことがよく知られており、著者らは心臓だけではなく、血管そのものにも長期的な障害が残っているのではないかと考え、血管の機能をFMDで、血管の硬さを大動脈のstiffness indexやdistensibilityで同時に評価した。
対象は5年以上寛解を維持する小児がんサバイバー96名で、アントラサイクリン投与群67名、非投与化学療法群29名、および健康対照72名を比較した。最終アントラサイクリン投与から検査までの期間は平均10.2年であった。上腕動脈FMDは、対照群13.13±2.40%、非投与群10.17±4.23%、投与群7.12±6.28%であり、投与群で有意に低値を示した。一方、ニトログリセリンでは群間差を認めず、内皮依存性血管機能の選択的障害が示唆された。また、大動脈stiffness indexは投与群で最も高く、FMD低値と大動脈スティフネス増加との間にも有意な関連があった。さらに累積アントラサイクリン投与量、治療開始年齢、中性脂肪値が血管機能指標と独立して関連した。治療開始年齢が低いほど、FMD低下および大動脈スティフネス増加が強い傾向が見られた。以上より、小児期のアントラサイクリン曝露は、治療終了から長期間経過した後も持続する血管内皮機能障害および動脈硬化性変化と関連する可能性が示唆された。
アントラサイクリン誘発性心毒性のスクリーニングツールとしての腕動脈血流依存性血管拡張反応
Flow-Mediated Dilation of Brachial Artery as a Screening Tool for Anthracycline-Induced Cardiotoxicity
要約:
アントラサイクリン系化学療法開始前の上腕動脈FMDが、その後の心機能低下を予測し得るかを検討した。対象はアントラサイクリン治療を予定した乳がん患者25名(平均57±12歳)で、治療前にFMDを測定し、3か月および6か月後の左室駆出率(LVEF)を追跡した。ベースラインFMDは3か月後(Spearman ρ=0.433、p=0.044)および6か月後(ρ=0.581、p=0.023)のLVEF変化と有意に関連し、治療前FMDが低い患者ほどLVEF低下が大きい傾向を示した。さらに、FMD低値群では3~6か月にかけてLVEFが有意に低下した一方、FMD高値群では有意な低下を認めなかった。FMDが1標準偏差(2.7ポイント)高いごとに、3か月後のLVEF低下オッズは37%低値であった(OR 0.63、95%CI 0.41–0.95)。一方、troponin IおよびNT-proBNPの変化はその後のLVEF変化を有意に予測しなかった。以上より、治療前FMDがアントラサイクリン心毒性の早期リスク層別化に有用な可能性が示された。
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