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【文献紹介】入浴・温熱療法とFMD

温熱療法とFMD|サウナ・温水浴・炭酸泉と血管内皮機能の研究

温熱療法とFMD|サウナ・温水浴・炭酸泉が血管内皮機能に与える影響

本ページでは、温熱療法とFMD・血管内皮機能との関係について、公開された研究論文をもとに整理しています。
温熱刺激によって体温や末梢血流が増加すると、血管内皮に加わる血流刺激が変化し、
一酸化窒素(NO)の産生などを介して、血管機能に影響を与える可能性が報告されています。
サウナ療法や温水浴、炭酸温水浴を用いた研究では、FMD(血流依存性血管拡張反応)をはじめとする血管機能指標の変化が検討されています。

FMDの測定原理や基本的な考え方については、FMDをご存じですか?をご覧ください。

目次

繰り返し温熱療法を行うことで、冠動脈疾患リスク因子を有する患者の血管内皮機能障害が改善される

Repeated thermal therapy improves impaired vascular endothelial function in patients with coronary risk factors

著者:M Imamura , S Biro, T Kihara, et al.

出典:J Am Coll Cardiol. (2001);38(4):1083-1088.

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要約: 筆者らは、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、喫煙、肥満などの冠動脈疾患リスク因子を有する男性25名を対象に、反復温熱療法が血管内皮機能に及ぼす影響を検討した。血管内皮機能は上腕動脈の血流依存性血管拡張反応(FMD)を用いて評価し、健常男性10名と比較した。治療前のFMDは健常群8.2±2.7%に対し、リスク群では4.0±1.7%と有意に低値であり、血管内皮機能の低下が認められた。温熱療法は60℃の遠赤外線乾式サウナに15分入り、その後30分間保温する方法を1日1回、2週間継続した。その結果、リスク群のFMDは4.0±1.7%から5.8±1.3%へ有意に改善した。一方、ニトログリセリンによる内皮非依存性血管拡張反応には有意な変化を認めなかった。さらに、1回の温熱負荷により上腕動脈血流量は約68%増加しており、血流増加による血管壁へのshear stressがeNOSを刺激し、NO産生を促進した可能性が考えられた。以上から、反復温熱療法は冠動脈リスク因子を持つ人の低下した血管内皮機能を改善する可能性が示された。


慢性心不全患者における反復サウナ治療が運動耐容能および内皮機能に及ぼす影響

Effect of repeated sauna treatment on exercise tolerance and endothelial function in patients with chronic heart failure

著者:Takashi Ohori , Takashi Nozawa , et al.

出典:Am J Cardiol. (2012)109(1):100-104.

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要約: 筆者らは、安定した慢性心不全患者41名を対象に、反復サウナ療法(和温療法)が運動耐容能および血管内皮機能に与える影響を検討した。対象者には60℃の遠赤外線乾式サウナに15分間入った後、毛布で30分間保温する治療を週5回、3週間実施した。治療前後で上腕動脈FMD、6分間歩行距離、心肺運動負荷試験、心臓が1回の拍動で血液を送り出す能力、BNP、ノルエピネフリンなどを評価した。その結果、FMDは3.5±2.3%から5.5±2.7%へ有意に改善し、6分間歩行距離も337±120 mから379±126 mへ延長した。心肺運動負荷試験を実施した20名では、運動時に体内へ取り込める酸素量が増加し、運動時の呼吸効率も改善した。また、心臓が血液を送り出す能力はわずかに向上し、BNPおよびノルエピネフリンは低下した。特に重要なのは、FMDの改善量が6分間歩行距離や運動時の酸素摂取能力の改善と関連し、多変量解析ではFMD改善が6分間歩行距離改善の独立した関連因子となった点である。温熱による末梢血流の増加により血管内皮に加わる血流刺激が強まり、NO産生を促す仕組みが活性化して血管内皮機能が改善した可能性が考えられる。


若年健常者において、急性温水浸漬は前腕虚血再灌流後の血管機能障害に対して保護効果を示す

Acute hot water immersion is protective against impaired vascular function following forearm ischemia-reperfusion in young healthy humans

著者:Vienna E Brunt , Andrew T Jeckell , et al.

出典:Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol. (2016);311(6):1060-1067.

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要約: 筆者らは、若年健常者10名を対象に、急性の全身温熱刺激が虚血再灌流による血管機能障害を予防できるかを検討した。対象者は、40.5℃の温水に60分間浸かる条件と、温水に浸からない対照条件の両方に参加した。温水に浸かった方では深部体温を38.5~39.0℃程度まで上昇させ、その後、上腕を250 mmHg以上で20分間圧迫して血流を遮断し、解除後20分間再灌流させることで虚血再灌流障害を再現した。血管機能は上腕動脈FMDおよび反応性充血により評価した。対照条件では、虚血再灌流後にFMDが7.4±0.7%から5.4±0.6%へ有意に低下した。一方、事前に温水浸漬を行った条件では、FMDは7.0±0.7%から7.7±1.0%と低下せず、血管内皮機能の障害が抑制された。また、微小血管機能を反映する反応性充血の低下も軽減された。著者らは、温熱による血流増加がNO産生や熱ショックタンパク質などの血管保護機構を活性化した可能性を考察している。本研究は、1回の強い温熱刺激でも、その後に生じる虚血再灌流による血管機能低下を一時的に抑える可能性を示した点が特徴である。


受動的温熱療法は、運動不足の人において内皮機能、動脈の硬さ、血圧を改善する

Passive heat therapy improves endothelial function, arterial stiffness and blood pressure in sedentary humans

著者:Vienna E Brunt , Matthew J Howard , et al.

出典:J Physiol. (2016) 594 (18): 5329-5342.

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要約: 筆者らは、運動習慣の少ない若年健常者20名を対象に、反復した全身温熱療法が血管内皮機能、動脈の硬さ、血圧に与える影響を検討した。対象者は、40.5℃の温水浴を行う温熱療法群10名と、36℃の温水浴を行う対照群10名にBMI等が近くなるように割り付けられ、週4~5回、8週間、計36回の介入を受けた。温熱療法では深部体温を38.5~39.0℃に約60分間維持した。介入前後で上腕動脈FMD、脈波伝播速度、動脈の柔軟性、血圧、頸動脈壁厚などを評価した。その結果、温熱療法群ではFMDが5.6±0.3%から10.9±1.0%へ大きく改善し、内皮非依存性の血管拡張反応には変化を認めなかった。また、大動脈の硬さを示す脈波伝播速度は7.1±0.3 m/sから6.1±0.3 m/sへ低下し、大腿動脈の柔軟性も改善した。さらに、拡張期血圧と平均血圧が約4~5 mmHg低下し、頸動脈壁厚も減少した。著者らは、温熱による末梢血流増加が血管内皮への刺激を高め、NO産生などを介して血管機能を改善した可能性を考察している。


健康な若年成人における炭酸温水下肢浸漬の急性血管系への影響

Acute vascular effects of carbonated warm water lower leg immersion in healthy young adults

著者:Shigehiko Ogoh , Ryohei Nagaoka , et al.

出典: Physiol Rep.(2016);4(23):e13046.

リンク:論文ページ


要約: 筆者らは、健康な若年男性12名を対象に、炭酸温水による下腿浴が血管機能に与える急性効果を検討した。対象者は、38℃の通常温水と、CO₂濃度1000 ppmの38℃炭酸温水に両下腿を20分間浸漬する2条件を別日に実施した。血管機能は膝窩動脈FMD、皮膚血流、baPWVなどで評価した。その結果、皮膚血流は通常温水で入浴前の約2.5倍に増加したのに対し、炭酸温水では約6.4倍まで増加した。FMDも、通常温水では2.7±0.1%から3.6±0.6%への変化にとどまったが、炭酸温水では3.0±0.4%から5.7±0.7%へ有意に改善した。また、皮膚血流の増加量が大きいほどFMDの改善も大きい傾向が認められた。さらに、炭酸温水と同程度の皮膚血流増加を通常温水で得るには約43℃まで水温を上げる必要があった。著者らは、炭酸による局所血管拡張によって血流が増加し、その血流刺激が血管内皮機能の改善につながった可能性を考察している。比較的低温・短時間でも血管機能を改善できる可能性を示した研究である。




本ページは公開論文の要約であり、診断・治療の代替ではありません。

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