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【文献紹介】脂肪肝とFMD

脂肪肝とFMD|NAFLD・MASLDと血管内皮機能・動脈硬化の研究

脂肪肝とFMD|NAFLD・MASLDが血管内皮機能に与える影響

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)や、現在の疾患概念であるMASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)は、
肝臓への脂肪蓄積だけでなく、肥満、インスリン抵抗性、脂質異常症などと関連し、
心血管疾患リスクとの関係も研究されています。

その背景の一つとして注目されているのが血管内皮機能障害です。
FMD(血流依存性血管拡張反応)を用いた研究では、NAFLD患者における血管内皮機能の低下や、
頸動脈内膜中膜厚(IMT)などの早期動脈硬化指標との関連が報告されています。

FMDの測定原理や基本的な考え方については、 FMDをご存じですか?をご覧ください。

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目次

非アルコール性脂肪性肝疾患患者における早期動脈硬化マーカーの評価

Evaluation of early atherosclerosis markers in patients with nonalcoholic fatty liver disease

著者:Metin Kucukazman , Naim Ata, Bunyamin Yavuz, et al.

出典:Eur J Gastroenterol Hepatol. (2013);25(2)147-151.

リンク:論文ページ


要約: 筆者らは、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)患者における早期動脈硬化の特徴を、血管内皮機能と血管壁の構造変化の両面から検討した。対象は161名で、肝超音波検査により正常群44名と、脂肪肝Stage 1~3のNAFLD群117名に分類した。血管内皮機能は上腕動脈FMD、血管構造は頸動脈内膜中膜厚(CIMT)で評価した。その結果、FMDは正常群9.6±2.7%に対し、NAFLD群では5.9±3.1%と有意に低く、血管内皮機能の低下が認められた。一方、CIMTは正常群0.27±0.18 mmに対し、NAFLD群では0.40±0.19 mmと有意に厚かった。さらに、脂肪肝の重症度が高いほどFMDは低下し、CIMTは増加する傾向がみられ、脂肪肝重症度とFMDには中等度の負の相関が認められた。著者らは、NAFLDに伴うインスリン抵抗性、脂質代謝異常、酸化ストレスや慢性炎症などが血管内皮機能低下や動脈硬化に関与する可能性を示唆している。本研究は、NAFLDが肝臓だけでなく全身の血管機能・構造変化と関連する可能性を示した。


動脈硬化の指標である内皮機能障害は、NAFLD患者におけるメタボリックシンドロームの有無にかかわらず認められる

Endothelial Dysfunction, a Marker of Atherosclerosis, Is Independent of Metabolic Syndrome in NAFLD Patients

著者:Jimmy Narayan , Haribhakti Seba Das , et al.

出典:Int J Hepatol. (2020)2020:1825142.

リンク:論文ページ


要約: 筆者らは、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)患者における血管内皮機能障害が、メタボリックシンドローム(MS)の有無とは独立して認められるかを検討した症例対照研究を実施した。対象はNAFLD患者126名と慢性B型肝炎患者31名で、NAFLD群はMSあり58名、MSなし68名に分類された。血管内皮機能は上腕動脈FMD、血管構造は頸動脈内膜中膜厚(CIMT)で評価した。その結果、FMDは対照群17.78±6.05%に対し、NAFLD全体では9.45±3.49%と有意に低かった。さらに、NAFLDではMSの有無にかかわらずFMDが低く、MSあり群10.43±3.13%、MSなし群8.56±3.58%で、いずれも対照群より有意に低値であった。一方、CIMTはMSありNAFLD群で0.73±0.04 mmと増加したが、MSなしNAFLD群0.66±0.02 mmは対照群0.66±0.04 mmと差がなかった。以上から、NAFLDではメタボリックシンドロームを伴わなくても血管内皮機能障害が存在する一方、構造的な動脈硬化はMSの影響をより強く受ける可能性が示された。


非アルコール性脂肪性肝疾患の小児における1年間の生活習慣介入後の動脈機能と構造

Arterial function and structure after a 1-year lifestyle intervention in children with nonalcoholic fatty liver disease

著者:L Pacifico , M Arca, C Anania, et al.

出典:Nutr Metab Cardiovasc Dis. (2013);23(10):1010–1016

リンク:論文ページ


要約: 筆者らは、肥満を伴う小児非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)患者を対象に、1年間の生活習慣介入が血管機能および血管構造に与える影響を検討した。研究開始時に135名が登録され、120名が1年間のプログラムを完遂した。介入内容は、摂取エネルギーを調整した食事療法と、1日60分・週5日以上の中等度身体活動を中心とするものであった。血管機能は上腕動脈FMD、血管構造は頸動脈内膜中膜厚(cIMT)で評価した。介入後、BMI-SDS、腹囲、体脂肪量、拡張期血圧、中性脂肪、インスリン抵抗性、肝酵素、炎症指標などが改善し、肝脂肪量も減少した。FMDは1年後に有意に改善し、血管内皮機能の回復が認められた。一方、cIMTには有意な変化を認めなかった。さらに、FMDの改善は腹囲、脂質、インスリン抵抗性、肝脂肪量などの改善と関連し、多変量解析では腹囲と総コレステロールの変化が独立した関連因子となった。以上から、小児NAFLDでは生活習慣改善によって血管の機能的異常は比較的早期に改善し得る一方、構造的な血管変化の改善にはより長い期間を要する可能性が示された。


代謝機能障害に伴う脂肪肝疾患を有する、またはそのリスクのある成人における、肝臓トリグリセリドの短期的減少が血管の健康に及ぼす影響

The impact of short-term reduction in hepatic triglycerides on vascular health in adults with or at risk of metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease

著者:Tianyu Wang , Isabelle Gallagher , et al.

出典:PLoS One. (2026);21(8):e0345338.

リンク:論文ページ


要約: 筆者らは、MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)またはその高リスク成人47名を対象に、2週間の食事介入による肝脂肪減少が血管機能に及ぼす影響を検討した無作為化介入研究を実施した。対象者は、炭水化物を1日30 g以下に制限する低炭水化物食群と、通常摂取量から約30%エネルギーを減らす低カロリー食群に割り付けられた。肝脂肪はMRI-PDFF、血管機能は上腕動脈FMD、上腕-足首脈波伝播速度(baPWV)、頸動脈-大腿動脈PWV、頸動脈IMTなどで評価した。その結果、肝内中性脂肪は12.6±10.5%から10.4±8.8%へ約15%減少し、体重も約2.5 kg減少した。FMDは4.3±2.9%から5.4±3.5%へ有意に改善し、baPWVも1288±158から1247±163 cm/sへ低下した。一方、cfPWVや頸動脈IMTには有意な変化を認めなかった。さらに血圧、中性脂肪、インスリン、HOMA-IRも改善した。ただし、肝脂肪の減少量とFMDやbaPWVの改善量には有意な相関がなく、血管機能改善が肝脂肪減少そのものによるとは証明されなかった。短期間の食事改善でも血管機能が変化し得ることを示した研究である。


運動トレーニングは非アルコール性脂肪性肝疾患における血管内皮機能障害を改善する

Exercise training reverses endothelial dysfunction in nonalcoholic fatty liver disease

著者:Christopher J A Pugh, Victoria S. Sprung, et al.

出典:Am J Physiol Heart Circ Physiol. (2014);307(9):H1298-H1306.

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要約: 筆者らは、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)患者にみられる血管内皮機能障害が、運動トレーニングによって改善するかを検討した。まず肥満NAFLD患者34名と、年齢・BMI・心肺体力が近いNAFLDのない肥満者20名を比較したところ、NAFLD群では上腕動脈FMDが有意に低く、内臓脂肪量が多いほどFMDも低い傾向がみられた。一方、肝脂肪量そのものとFMDには明確な相関を認めなかった。さらにNAFLD患者31名を運動群と通常診療群に割り付け、16週間の有酸素運動を実施した。運動は週3回から開始し、最終的には心拍予備能60%、45分、週5回まで段階的に増加させた。その結果、運動群ではFMDが4.79%から8.57%へ大きく改善したのに対し、通常診療群では改善を認めなかった。ニトログリセリンによる内皮非依存性血管拡張反応には変化がなく、血管内皮機能の改善が示唆された。また心肺体力や腹囲は改善した一方、肝脂肪や内臓脂肪には明確な群間差を認めなかった。以上から、NAFLDに伴う血管内皮機能障害は、体重や肝脂肪の大きな減少を伴わなくても、継続的な有酸素運動によって改善し得る可能性が示された。




本ページは公開論文の要約であり、診断・治療の代替ではありません。

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